Appleの初売りで「mac mini M4 をサーバー用途に買い足そうかな」と考えていましたが、結論として 自分の環境では不要 という判断に落ち着きました。
この記事では、その理由を整理しておきます。
mac mini M4 を検討していた理由
そもそも、なぜ mac mini M4 の購入を検討していたかというと、現在メインサーバーとして使っている mac mini 2018(Intel Core i7) に関する将来的な不安があったからです。
- Intel Mac のサポート終了が近づいている
- Apple は Apple Silicon への移行を加速しており、macOS の新機能や最新のセキュリティアップデートが Intel Mac では受けられなくなる時期が確実に近づいています。
- すでに一部の最新機能は Apple Silicon 限定となっており、サーバー用途でも長期的な安定性を考えると Intel 機への依存はリスクになります。
- Vagrant や開発ツールの対応が滞りつつある
- Docker Desktop や Vagrant など、開発環境系のツールは Apple Silicon ネイティブ対応が進んでいますが、Intel Mac 向けの更新は優先度が下がっています。
- 今後、Intel 版でのバグ修正や新機能追加が滞る可能性が高く、開発・検証用途でも将来的に不便が増えることが予想されます。
これらの理由から、「早めに Apple Silicon ベースのサーバー環境に移行しておくべきでは?」と考え、消費電力も優秀な mac mini M4 が候補に上がっていました。
現状の環境整理
現在の常時稼働サーバー構成はこんな感じです。
- 本番サーバー:mac mini 2018(Core i7 / RAM 32GB)
- 常時起動サービス:Pi-hole、Tailscale
- 24時間自宅ネットワークのDNS・VPNゲートウェイとして動作
- 手元にはすでに Mac Studio M2 Max も所有
- 普段は開発や各種検証で利用
- まだサーバー役には本格投入していない
今後は Docker コンテナで Pi-hole / Growi / n8n / Dify など、個人向けの自宅サービスを少しずつ増やしていく構想があります。
消費電力と電気代をざっくり試算
24時間365日サーバーとして動かす前提で、平均消費電力と電気代を簡易試算してみました(電気料金は 30円/kWh 前提)。
| 機種 | 想定平均消費電力 | 月間電力量 | 月間電気代 | 年間電気代 |
|---|---|---|---|---|
| Mac mini 2018 (i7) | 約15W | 約10.8kWh | 約324円 | 約3,942円 |
| Mac Studio M2 Max | 約25W | 約18.0kWh | 約540円 | 約6,570円 |
| mac mini M4 | 約8W | 約5.76kWh | 約173円 | 約2,102円 |
※用途は Pi-hole + Tailscale 程度を想定した平均値。実際はワークロードにより上下します。
ワットチェッカーで実測してみた結果
ちなみに、手元の Mac Studio M2 Max をワットチェッカーで実際に測定してみたところ、Docker サービスを起動した状態で約15W前後で安定して動作していました。
これは表の想定値である「約25W」よりもかなり低く、実際のサーバー用途ではさらに省電力で運用できることがわかりました。
軽いコンテナサービス(Pi-hole / Tailscale / Growi など)を動かす程度であれば、mac mini 2018 とほぼ同等の消費電力で済むことになります。
この実測結果を踏まえると、Mac Studio をサーバーとして使っても 電気代の面でほとんど不利にならない ことが確認できました。
この表からわかるのは次のポイントです。
- mac mini 2018 → mac mini M4 に置き換えると、
年間の電気代は約 3,942円 → 2,102円(−1,840円) 程度。 - Mac Studio M2 Max → mac mini M4 と比べても、
年間の差は約 6,570円 → 2,102円(−4,468円) 程度。
電気代の差額で本体代は回収できない
仮に mac mini M4 を 10万円 で購入する前提で、電気代の差額から「元が取れる年数」を計算してみました。
- 2018 mini → M4 mini の電気代差:約1,840円/年
→ 10万円回収に 約54年。 - M2 Max Studio → M4 mini の差:約4,468円/年
→ 10万円回収に 約22年。
サーバー用途だけを見た場合、電気代の節約で本体代を回収するのは現実的ではないことが分かります。
Mac Studio M2 Max をサーバーにすれば十分
所有している Mac Studio M2 Max の能力を考えると、mac mini M4 を新規購入せずとも十分に要件を満たせます。
- 性能面の余裕
- M2 Max は CPU/GPU ともに余力が大きく、今後 Growi / n8n / Dify などのサービスが増えても問題なくさばける性能があります。
- 消費電力も現実的
- ワットチェッカーでの実測では、Docker サービス起動状態で 約15W前後 と非常に省電力でした。
- これは mac mini 2018 とほぼ同等で、軽いサーバー用途なら年間の電気代は 約3,942円程度 に抑えられる見込みです。
- 拡張性と安定性
- ポート数や冷却性能に余裕があり、24時間稼働サーバー兼ワークステーションとして運用しやすい設計です。
- Apple Silicon 対応で将来も安心
- M2 Max は最新の macOS や開発ツールのサポートを長期的に受けられます。
- Docker や Vagrant などの開発環境も Apple Silicon ネイティブ対応が進んでおり、Intel Mac で懸念していた「サポート終了」や「ツール更新の滞り」といった問題を解消できます。
これらを踏まえると、mac mini 2018 の役割を Mac Studio M2 Max に引き継ぐだけで、性能・安定性は大きく向上しつつ、電力も許容範囲内に収まります。
mac mini M4 を買う意味があるケースを洗い出す
一応、「それでも mac mini M4 を買うべきシナリオ」がないかも検討しました。
- Mac Studio を 完全にデスクトップ専用にして、サーバーは別筐体に分離したい。
- とにかく 消費電力・静音を極限まで追求したい。
- 常時稼働サーバーを複数台構成にして、冗長化や検証環境を分けたい。
ただ、自分の現在のワークロードと予算感を考えると、
- Mac Studio をサーバー兼用にしても作業には十分な余力がある。
- 24時間稼働しても年間 4,000円程度の電気代で収まる(実測ベース)。
- 追加で 10万円かけてまで、数ワット単位の省電力化を追う必要性は高くない。
- Intel Mac のサポート終了問題も、Mac Studio M2 Max への移行で解決できる。
という結論になりました。
最終結論:今回は見送る
以上を踏まえて、今回の Apple 初売りで検討していた mac mini M4 の購入は見送りにしました。
- 電気代差額だけでは本体代を回収できない。
- すでに所有している Mac Studio M2 Max をサーバーに転用すれば十分な性能と余裕がある。
- 実測で Docker 稼働時でも 約15W前後 と非常に省電力であることが確認できた。
- Intel Mac のサポート終了や開発ツールの対応問題も、Mac Studio への移行で解決できる。
- mac mini 2018 は常時稼働から降ろして、検証用・バックアップ用に回す運用で電力の無駄も減らせる。
Apple Silicon 世代の省電力性能は魅力ですが、「すでに強力な Mac Studio を持っている」という前提に立つと、今すぐ mac mini M4 を追加購入する必然性はない、というのが今回の結論です。